
第1章:関数って何だろう?

プロ太先生!JavaScriptの関数って、よく分からないんです。関数って何なんですか?

いい質問だね、OZくん!関数っていうのは、『お料理のレシピ』みたいなものだと思ってみて。材料(データ)を入れると、決まった手順で調理して、完成品(結果)を返してくれるんだ。
// これが「おにぎりを作る」レシピ(関数)
function makeOnigiri(ingredient) {
return "美味しい" + ingredient + "おにぎり";
}
// レシピを使って実際に作ってみよう!
let myOnigiri = makeOnigiri("鮭");
console.log(myOnigiri); // "美味しい鮭おにぎり"

あ!ingredient
が材料で、makeOnigiri
がレシピで、最後に美味しいおにぎりができるんですね!

その通り!よく理解できているね。
第2章:関数も実はオブジェクトだった!

でも先生、『Functionオブジェクト』って何ですか?関数とオブジェクトって違うものじゃないんですか?

実は、JavaScriptでは関数も『オブジェクト』の一種なんだよ。ビックリでしょ?

え!?関数がオブジェクト??

そうなんだ。JavaScriptでは『すべてがオブジェクト』と言われるくらい、いろんなものがオブジェクトなんだよ。関数を調べてみよう!
// 関数を作ってみよう
function sayHello(name) {
return "こんにちは、" + name + "さん!";
}
// 関数もオブジェクトだから、プロパティを調べられる!
console.log(typeof sayHello); // "function"
console.log(sayHello.name); // "sayHello" ← 関数の名前
console.log(sayHello.length); // 1 ← パラメータの数

わあ!関数に.name
とか.length
とかがあるんですね!

そう!関数はオブジェクトだから、プロパティやメソッドを持っているんだ。さらに面白いことに、関数に新しいプロパティを追加することもできるよ!
// 関数にオリジナルのプロパティを追加!
sayHello.author = "OZくん";
sayHello.version = "1.0";
console.log(sayHello.author); // "OZくん"
console.log(sayHello.version); // "1.0"

すごい!関数がまるで普通のオブジェクトみたいに使えるんですね!
第3章:関数オブジェクトの特別な能力

関数オブジェクトには、普通のオブジェクトにはない特別な能力があるんだ。それは『呼び出せる』ということ!

呼び出せる?

そう!関数は()
をつけることで実行できるよね。これが関数オブジェクトの最大の特徴なんだ。
// 普通のオブジェクト
let normalObject = {
name: "普通のオブジェクト"
};
// 関数オブジェクト
function specialObject() {
return "私は呼び出せるオブジェクトです!";
}
// 普通のオブジェクトは呼び出せない
// normalObject(); // エラーになる!
// 関数オブジェクトは呼び出せる!
console.log(specialObject()); // "私は呼び出せるオブジェクトです!"

さらに、関数オブジェクトには便利なメソッドもあるんだよ。call()
とapply()
っていうメソッドを使うと、関数の実行方法をコントロールできるんだ。

コントロール?どういうことですか?

実はね、関数の中でthis
っていう特別なキーワードを使うことがあるんだ。this
は『今、この関数を呼び出しているのは誰?』を表すんだよ。
function introduce(greeting, punctuation) {
return greeting + "、私は" + this.name + "です" + punctuation;
}
let person = { name: "OZくん" };

このintroduce
関数の中にthis.name
があるでしょ?このthis
が何を指すかを、call()
やapply()
で決められるんだ。

あ!this
っていうのが『誰のname』かを指定するんですね!

その通り!見てみよう。
function introduce(greeting, punctuation) {
return greeting + "、私は" + this.name + "です" + punctuation;
}
let person = { name: "OZくん" };
// call()を使って関数を実行
// call(誰のthisにするか, 第1引数, 第2引数, ...)
let message1 = introduce.call(person, "こんにちは", "!");
console.log(message1); // "こんにちは、私はOZくんです!"
// apply()を使って関数を実行(引数を配列で渡す)
// apply(誰のthisにするか, [引数1, 引数2, ...])
let message2 = introduce.apply(person, ["おはよう", "。"]);
console.log(message2); // "おはよう、私はOZくんです。"

つまり、person
オブジェクトをthis
として使って、introduce
関数を実行しているんだ。だからthis.name
はperson.name
、つまり『OZくん』になるんだよ。

なるほど!別の人のオブジェクトを使ったらどうなるんですか?

いい質問!試してみよう。
let teacher = { name: "プロ太先生" };
// teacherをthisとして使う
let message3 = introduce.call(teacher, "こんばんは", "♪");
console.log(message3); // "こんばんは、私はプロ太先生です♪"

わあ!同じ関数なのに、違う人の名前が出てきた!すごい!でも先生、call()
とapply()
って何が違うんですか?

2つの違いは、引数の渡し方だけなんだよ。

引数の渡し方?

そう!簡単に覚える方法があるよ。
// call() → 引数をComma(カンマ)で分けて渡す
introduce.call(person, "こんにちは", "!");
// ↑カンマ ↑カンマ
// apply() → 引数をArray(配列)で渡す
introduce.apply(person, ["こんにちは", "!"]);
// ↑配列の中に全部入れる

「覚え方は『CallのC = Comma(カンマ)』、『ApplyのA = Array(配列)』だよ!」

なるほど!CとA!覚えやすいですね!

もう少し詳しく見てみよう。引数がたくさんある時の違いが分かりやすいよ。
function makeMessage(greeting, name, age, hobby, punctuation) {
return greeting + "!私は" + name + "、" + age + "歳です。趣味は" + hobby + "です" + punctuation;
}
let studentInfo = ["こんにちは", "OZくん", 14, "プログラミング", "♪"];
// call()の場合:引数を一つずつカンマで分けて書く
let message1 = makeMessage.call(null, "こんにちは", "OZくん", 14, "プログラミング", "♪");
// apply()の場合:配列をそのまま渡せる!
let message2 = makeMessage.apply(null, studentInfo);
console.log(message1);
console.log(message2);
// どちらも同じ結果:「こんにちは!私はOZくん、14歳です。趣味はプログラミングです♪」

あ!apply()
の方が配列を使えるから便利な場面もあるんですね!

その通り!特に、引数の数が分からない時や、配列に入ったデータをそのまま関数に渡したい時はapply()
が便利なんだ。でも基本的な機能は同じだよ。
第4章:Functionコンストラクタの秘密

実はね、関数を作る方法はfunction
キーワードだけじゃないんだよ。Function
コンストラクタを使っても作れるんだ!

コンストラクタ?

コンストラクタっていうのは、オブジェクトを作るための特別な関数のことだよ。関数もオブジェクトだから、Function
コンストラクタで作れるんだ。
// 普通の関数の書き方
function add1(a, b) {
return a + b;
}
// Functionコンストラクタを使った書き方
let add2 = new Function('a', 'b', 'return a + b');
// どちらも同じ動きをする!
console.log(add1(3, 4)); // 7
console.log(add2(3, 4)); // 7
// どちらもFunctionオブジェクト
console.log(typeof add1); // "function"
console.log(typeof add2); // "function"

同じ関数が違う方法で作れるんですね!でも、なぜ2つの方法があるんですか?

Function
コンストラクタは、プログラムの実行中に動的に関数を作りたい時に使うんだよ。でも、普通は最初の書き方の方が読みやすいから、そちらを使うことが多いんだ。
第5章:関数の種類いろいろ

関数オブジェクトには実はいくつかの種類があるんだよ。

種類?

そう!見てみよう。
// 1. 通常の関数宣言
function normalFunction() {
return "普通の関数です";
}
// 2. 関数式(変数に関数を代入)
let functionExpression = function() {
return "関数式です";
};
// 3. アロー関数(ES6から)
let arrowFunction = () => {
return "アロー関数です";
};
// 4. 即座に実行される関数(IIFE)
let result = (function() {
return "すぐに実行される関数です";
})();
console.log(normalFunction()); // "普通の関数です"
console.log(functionExpression()); // "関数式です"
console.log(arrowFunction()); // "アロー関数です"
console.log(result); // "すぐに実行される関数です"

いろんな書き方があるんですね!でも、全部同じFunctionオブジェクトなんですか?

基本的にはそうだけど、少しずつ違いもあるんだよ。でも、どれも『呼び出せるオブジェクト』という点では同じなんだ。
第6章:実践的な使い方

先生、関数オブジェクトの特性を活かした実際の使い方を教えてください!

よし!関数を他の関数に渡したり、配列に入れたりする例を見てみよう。これは関数がオブジェクトだからできることなんだ。
// 関数を配列に入れる
let calculators = [
function(a, b) { return a + b; }, // 足し算
function(a, b) { return a - b; }, // 引き算
function(a, b) { return a * b; }, // 掛け算
];
// 配列から関数を取り出して実行
console.log(calculators[0](5, 3)); // 8 (足し算)
console.log(calculators[1](5, 3)); // 2 (引き算)
console.log(calculators[2](5, 3)); // 15 (掛け算)
// 関数を他の関数に渡す(コールバック関数)
function processNumbers(num1, num2, operation) {
return operation(num1, num2);
}
let result1 = processNumbers(10, 5, calculators[0]); // 15
let result2 = processNumbers(10, 5, calculators[1]); // 5
console.log("足し算の結果:", result1);
console.log("引き算の結果:", result2);

わあ!関数を変数みたいに扱えるんですね!

その通り!これを『第一級オブジェクト』と呼ぶんだよ。関数が他のデータ型と同じように扱えるということなんだ。
まとめ:関数オブジェクトの正体

今日学んだことをまとめてみよう!
関数オブジェクトの特徴
- 関数はオブジェクト: プロパティやメソッドを持てる
- 呼び出し可能:
()
をつけて実行できる特別な能力 - 第一級オブジェクト: 変数に代入、配列に格納、他の関数に渡せる
- 複数の作成方法:
function
宣言、関数式、アロー関数、Function
コンストラクタ - 便利なメソッド:
call()
,apply()
,bind()
など
覚えておきたいポイント
// 関数は「呼び出せるオブジェクト」
function myFunction() {
return "Hello!";
}
// オブジェクトとしての性質
console.log(myFunction.name); // 名前を取得
myFunction.customProperty = "カスタムプロパティ"; // プロパティ追加
// 関数としての性質
console.log(myFunction()); // 実行して結果を取得

関数がこんなに奥深いものだったなんて!関数オブジェクトの正体がよく分かりました!

この理解があれば、JavaScriptをもっと深く学んでいけるよ。関数オブジェクトの特性を活かして、いろんなプログラムを作ってみてね!